ラーメン。
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今日は珍しく一杯のラーメンについて書こうと思う

僕がtwitterで仲良くしてもらっている人たちの中には、ラーメンをこよなく愛する人もラーメンが嫌いな人もいる

彼ら彼女らに比べたら中途半端な僕ではあるが、その僕でも思わず言及したくなってしまうほど、今日出会ったラーメンは感動的であった

東京は千代田区神田、淡路町の一角にその店はあった

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近くにはおしゃれなビルも建っている

看板は歩道を歩いていてもわかる位置にあるが、店自体は地下にある

僕が行ったときには四人のサラリーマンが列を作っていた

構うことなく後ろに並ぶ

食べると決めたら食べる、それが僕なのだ

食券販売機の位置に移動するまでに注文するものを考える

どうやら、白いラーメンと黒いラーメンがあるようだ

白は鶏で出汁をとったものに生クリームが加わっているらしい

黒は魚介で出汁を取った醤油味だ

僕は後者を選んだ

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券売機の上に立つネコがとぼけた表情でよろしい

中に入ると、店員さんが食券を受け取って席に案内してくれる

回転率は思っていたよりも高いようだ

席に着くとすでにお盆とレンゲ、お手拭きが用意されていた

こういういかにもな「出迎え」は嬉しいものだ

店内は広くないながらも、綺麗で秩序だっている

床がヌルヌルしているようなこともない

しばらく待っていると、僕を含め複数人のどんぶりが同時に運ばれてきた

そして僕はそのラーメンに正対して、顔を合わせ、目を疑った

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僕はこのラーメンを評してこうtwitterで書いた




そう、このラーメンは「行儀正しい」のだ

姿勢の良さ、色調の美しさ、具材の平衡感覚……そういった纏っている雰囲気のすべて、そこんじょそこらのラーメンと比べて格が一つ上なのだ

そう、さながら正座をしている武士のように

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これは”サムライ”のラーメンだ

「いただきます」と思わず手を合わせて言ってしまう

僕はいったい、ラーメンを食べているのだろうか? それとも、なにか偉大なものを相手に試合をしているのだろうか?

レンゲでスウプをそっとすくい、口づけをする

なんと濃厚なスープだろう

見た目に反して、とても濃厚だ

こってりとまではいかないが、あっさりでは決してない

想像を超える密度の高い濃さを、そのラーメンは持っていた

しっかりとした醤油の中で、深みのある魚介の出汁がその味を主張している

だが、くどくない

魚独特の臭さもない

そのスープはまさに、魚介という存在を証明するものだと言っても過言ではないだろう

日本人は、グルタミン酸ナトリウムに代表される「うまみ」という味覚を古くから重要視していた

そう、これは単なる魚介出汁のスープなのではない、うまみの実存証明なのだ

スタートから、いい意味で裏切られた形になった

僕は箸で麺をつまむ

ストレートの細麺だ

僕は普段、太めで縮れのある麺を好む

それはおそらく、ラーメンという食べ物の持つポップさと太い縮れ麺がマッチするからだ

もちろん、スープと絡みやすいとかいう理由もあるのだろう

だがこのラーメンは、ストレート細麺だった

僕はこの麺を受け容れ始めている自分に気がついた

このラーメンは、この麺でなくては駄目だ

まっすぐで、スッとしていて、素直な麺

小細工は、無しだ

僕は麺を自分の中に取り込んだ

なるほど、麺が細いということは、それだけ多くの麺を口に含めることができるということでもある

全体としての麺の表面積(いわゆる表麺積)が増えるので、その分麺に付着しているスープも増えるわけだ

僕はこの偉大な発見に自分で満足しながら、白い麺の歯ごたえを楽しんだ

具材も、またいい

僕は野菜をこれでもかと盛ったラーメンがあまり好きではない

もやしが入っているときなど、麺との錯覚を引き起こして最悪である

野菜が食べたければ、こじゃれたテラスのあるカッフェでシーザーサラダでも頼んでいればよいのだ

その点、このラーメンには水菜のみ

塩気を緩和しつつシャキシャキとした食感の変化を楽しめる上、器の中に緑色の彩を添える

一品だけ盛り付ける野菜としてはベストチョイスだろう

(ところでこれ、水菜なのかな? トッピングのメニューにはネギと書いてあったのだけれど……野菜あんまり食べないのでわかりません)

それ以外のトッピングは、カモが三枚にチャーシューが一枚、あと卵

肉好きとしては、この肉の量はなかなか嬉しい

チャーシューはとてもやわらかく、スープを邪魔しない程度に味が染み込んでいた

特筆すべきはカモである

これがまた、魚介の味とよく調和するのだ

カモの美味さについてはいまさら語る必要もないが、この「魚介と合う」という点は強調しておかねばならない

卵は少し黄身にとろみが残っていたのだが、余計な味を足したくなかったためスープに溶かすような真似はしなかった

汁は完飲しようとしたのだが、麺がないと飲み切るには濃かった……

大盛りでも麺200gで、大食いには向いていないと思った